友人と最後のお別れをした時に、みんな思い思いの物を棺に入れた。
私は、何も入れなかった。
何を入れていいか分からなかった。
最後に1つだけ、棺に入れて欲しい物は何ですか?
その日から自分に問いかけた。ずっと考えた。
出た答えは、「持ち物や愛用品は、何もいらない」
でも、一つだけ棺に一緒に入れてくれると言われたら、何が欲しいかを考えた。
持ち物はいらないけれど、
「甘いパン」が最後に欲しいな、と思った。
甘いパンは私の大好物だから。
もし私に急な不幸が起こっても、
「物は何も残す必要がない。全部すっきり処分して欲しい」
「最後に物は何もいらないけど、甘いパンが一つだけ棺に入れて欲しいです」
と家族に伝えてみた。
何言っているの?という顔をされたけれど、本当に何か起こった時にきっとこの言葉を思い出してくれるはず。
伝えておいたか、伝えていなかったかは、とても重要なことだから。
こんな話、40代で元気な時に面と向かって家族と話しても真に受けてもらえないかもしれない。
だからこそ、はっきり伝えておいた方がいいこともある。
「最後は何もいらない、甘いパンをひとつだけください」
それが私の最後に欲しいものだから。
明日が必ずあるとは限らない
明日の事は、誰も分からない。
最後の日は、前触れもなく訪れてくるかもしれない。
でも、意思表示をしていたか否かは、残された親しい人にとっては大きな問題なのだ。
特に「突然のさよなら」は、誰にでも起こりうる事だから。
友人は何も言葉を残してくれなかったけど、それが私には大きなプレゼント。
残りの人生の事、改めて考える「きっかけ」をありがとう。