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雨の日も悪くはない。大雨のおかげで「意外な人」の「意外な顔」に出会ったから

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雨の日は、意外な事を発見したり、意外なものに出会ったりする。

先週の大雨の日に、私が見つけた「意外なもの」のお話を少ししようと思う。

人気レストランの怖い彼女

職場の近くに、昨年秋に開店した美味しい洋食のお店がある。

そのお店は、カウンター5席と、テーブル席2つしかない、とても小さなレストラン。

 

小さいけれど、外観も店内も大人の雰囲気と趣があり、しばし職場の喧騒を忘れさせてくれる素敵なお店なのだ。

 

60代半ば位のシェフ3人が、小さくても機能的な美しい厨房で、テキパキと美味しいランチを作ってくれる。

私は必ずカウンターに座ってシェフの調理を見ながらランチを食べる。

料理が好きな私の「お楽しみタイム」でもある。

 

どのメニューも洗練されていて、ランチメニューとは思えない完成度。

人気店の理由がよく分かる。

 

値段は少しお高めだから毎日は行けないけれど、それでも「毎日でも行きたい」と思えるお店なのだ。

しかし、、、

毎日は行かない理由が、もう一つある。

 

それは、接客を仕切るスタッフの若い女性が、とても無愛想で「怖い」から。

店内への入り口には必ず彼女がいる。

彼女は、大きな瞳をもった黒髪の美しい女性。

小さな洋食店にいるには勿体無いくらいの魅力的で端正な顔立ち。

でも、絶対に笑わない

「いらっしゃいませ」、とは言うが視線が鋭くて視線が合った時は恐怖さえ感じる。

 

お店は開店以来ずっと人気店のままだ。

テイクアウトを待つ人と、店内への順番を待つ人で、入り口はいつも賑わっている。

「不機嫌そうな彼女」をクリアできたら、美味しいランチを食べられる。

ハードルは高い。

特に混んでいて彼女が忙しそうな時は、そのお店に近寄らないようにしている。

 

でも、どうしてもそのランチが食べたくなる日がある。

それは先週の大雨の日。

 

大雨だから、さすがにお店は空いていた。

私を含めカウンターに女性客3人だけ。

 

雨はどんどん酷くなり、

シェフ達も「昨日忙し過ぎたから今日は雨のおかげで休めるね」などと、話している。

 

怖い彼女は相変わらず素っ気なかったが、大好きなランチをゆっくり食べられて、私は満足していた。

 

気づいたら、ランチタイムのお客は私が最後。

食後のカフェオレを飲みながらシェフ達の話をぼんやり片耳で聞いていた。

怖い彼女の意外な素顔

シェフ達は普段から、みんな穏やかな人達だ。

でも、

「この怖い彼女をなぜ雇っているだろう?」とずっと疑問だった。

人気店なら、もっと愛想の良い人を雇えるはずなのに、と。

 

そんな事を思っていると、

シェフ達が和やかに話してる輪に、不意に優しい笑い声が加わった。

それは、あの怖い彼女の声だった。

 

どうやら彼女はシェフ達の親族のようだ。

彼女が会話に加わると、シェフ達の声が優しいお父さんのように変わった。

シェフ達が彼女をとても大切にしている事がすぐわかった。

 

彼女は別人のように無邪気な声で笑っていた。

「作り笑い」ではなく自然な声と表情だった。

 

あまりに意外過ぎて、その日のカフェオレの味を全く覚えていない。

私が店を後にする時には、

「お気をつけて」と、大雨を気遣う言葉もくれた。

そんな言葉を今まで一度も聞いたことがなかったのでそれはもうびっくりの連続だった。

 

「怖い彼女」と「優しい無邪気な彼女」

でも、「無邪気な彼女」が本当の彼女だと、後になって思った。

 

その店はランチ激戦区に突如オープンした個人店。

すぐ行列ができたが、周りの既存店との関係はいろいろあったかもしれない。

接客を仕切る彼女は、その行列も制御する必要もあっただろう。

 

シェフ達は世間ズレしていない穏やかな雰囲気の人達だから、ある意味、彼女があの店を守っているのかもしれない

大雨は意外なものを見せてくれる

意外なものを見せてくれた大雨に、感謝しなければと思った。

今日は、その店にランチに行こうと思う。

また怖い彼女に戻っていても、もう平気だ。

美味しいランチとピリッと辛い彼女。

小さいお店の、小さな出来事。

雨も、嫌な事ばかりではない。

意外なものを見せてくれる。

雨だから、見えるのかもしれない。

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