先月、「もっと知りたいパリの収納」という本を買った。
レイチェルクーのパリの小さなキッチンを見て、その狭い空間に充実したキッチンアイテムが揃っている事に刺激を受けて、パリのアパルトマンの収納にとても興味が湧いた。
この本は整理収納コンサルタントの本多さおりさん監修で、パリジャンに自宅収納を公開してもらうという企画の書籍。
今年1月に発売されたそうだが、私は先月IKEAへ行った日の帰りに初めて書店で見つけた。
「もっと知りたいパリの収納」に出てくるキッチンにあるル・パルフェの瓶と素敵な暮らし
「インテリア実例本かな?」と思って書店で気軽に手に取ってみたら、予想以上の内容の良さで思わず買ってしまった。
小さなアパルトマンから広い郊外の戸建てまで、いろんな生活スタイルのパリのお宅訪問して、収納を公開してもらうという、見て読んで楽しめる内容。
インテリア本とはひと味違った本なのだ。
キッチン、バスルーム、寝室、リビング。
いろんな場所の引き出しや収納の中を公開してくれている。
そのお宅に本多さおりさんが実際に行って収納を見せてもらい、写真には本多さんのコメントが細かく掲載されている。
パリジャンの収納を日本の収納プロの目線から丁寧に解説。
本多さんの優しい雰囲気がとても良く合っている。
パリのキッチンは、レイチェルクーのキッチンのように狭いお宅が多いけれど、彼女だけではなく一般的にキッチンアイテムはかなり多いようだ。
パリジャンが自宅で料理をする機会が多いことがうかがえる。
地震がない土地だから、どのお宅も高い位置までグラスや食器などの割れ物がぎっちり収納されている。
アイテムは日本の家庭用より多いのではないだろうか?
特に食材のストックには特徴があって、レイチェルクーのように粉や豆類を瓶で保存してる人がほとんどだ。
「ル・パルフェ」という保存瓶が主流のようである(←レイチェルクーも使っていた)
この瓶は、一度はどこかで見たことがあると思う。
大小さまざまなサイズがあって、密閉できるから、保存食品用に日本でもよく利用される瓶のシリーズ。
だだし、瓶は重い。
大きなキッチンも小さなキッチンも、どのキッチンも上手に瓶を活用していた。
重ねたり、並べたり。
何故だろう。
どのお宅にもアイテムがすごく沢山あるのに、ごちゃごちゃに見えない。
お鍋も、お皿も、グラスも、カトラリーも、いっぱいある。
一人暮らしでも二人暮らしでも、本当にキッチンアイテムは沢山すぎる程ある。
私はパリに暮らした事はないし、フランス人の知り合いもいない。
だから、この本に載っている人が一般的なのか特別なのかは分からない。
でも、読んでいたらすごく気分転換ができた。
パリのキッチンと、日本のキッチンは違う。
作る料理も、ライフスタイルも違う。
日本の生活スペースと似たようなパリ、同じような狭さでも、全く違う。
だから、いいのだ。
この本を見て、真似できることは私の場合あまりなかったけれど、収納と暮らしについて素直に「素敵だ」と感じられて買って良かったと思う。
高い位置にグラスが並べてあるのは地震がある日本では向いていないし、バスルームにいろんなアイテムが置いてあって「錆びないのかな?濡れないのかな?」など最初は読みながら思ってしまう自分がいたけれど、「違うから良い」と思ってからは目線が変わった。
買って1ヶ月経っても、今も時々寝る前にベットで本を開いている。
読むというより、本の中の写真をみると気分転換になるのだ。
「ル・パルフェ」の瓶は、よく見たらうちの近所にあるスーパーの日用品売り場にも売っていた。
たぶん、ずっと売っていたと思う。
見慣れていて、それが「ル・パルフェ」の瓶だと分からなかっただけ。
でも、近所でずっと売っているということは、通年である程度のニーズがあるということだ。
瓶がそれなりに重いので私は買ってないけれど、もしかしたら欲しくなるかもしれない。
本の写真の小さなキッチンに、「ル・パルフェ」は並んでいるだけで、こんなに素敵。
パリのようには暮らせないけれど、日常の収納を「スッキリしている」という意識では無く、「素敵だ」と思えたことは、今まであまりなかったように思う。
収納はスッキリするだけでは、つまらない。
私は、たぶん「スッキリ」だけの片付けはもう望んでいない。
この本を見て、そのことがよく分かった。
自分の求める空間は、「無」ではなく「有」
出会えて良かった1冊だ。